通常の健康診断にも尿検査が含まれているように、尿の成分によって病気を見つけ疑うことができます。排尿した後の尿を目にしたときに、泡立ちが多いかな?などと感じて、病気とのつながりを心配したことがある方も少なくないでしょう。尿の泡立ちはどうして起こるのでしょう、またどんな病気のサインとなるのでしょう、尿の泡立ちについて知っておきたい内容をご説明いたします。
尿が泡立つのは異常か?
食べ物が消化や吸収を経て、体のさまざまな部分の栄養となり最後の老廃物となったものが尿です。その尿の中にはナトリウムやカリウム、尿素やアンモニアなど多くの成分が含まれていますが、その中でもウロビリノーゲンという成分があります。このウロビリノーゲンは界面活性作用があり、石けんと同じような作用も持ち合わせています。通常、勢いよく排尿した場合には泡立ちますが、このウロビリノーゲンの界面活性作用によるものなのですぐに消える泡立ちは異常ではありません。
しかし尿の泡立ちがなかなか消えない場合には、単にウロビリノーゲンの作用だけとは言い切れず、病気が原因で他の泡立ち成分が混入している場合も考えられます。
泡立つ原因
ウロビリノーゲンの界面活性作用による泡立ちのほか、尿中にタンパク質が含まれていることで泡立ちが生じます。
腎臓では体に必要な成分とそうでないものとに濾過(ろか)する作業が行われます。血液が腎臓を経由して必要栄養分であるタンパク質は再吸収され、残ったものが黄色の尿となりますので、たんぱく質は通常では尿に含まれません。
こういうことから、尿の泡立ちの原因がタンパク質である場合には、背景に病気が隠されている可能性が高くなると判断できると思われます。
泡立ちと食事、運動、飲酒、肥満との関係
尿が作られる過程において、肝臓が大きく関わります。肝臓ではアルコールをはじめ、体の毒素を分解するはたらきやリサイクル作業が行われるため、腎臓に行くまでの間には肝臓を通過します。アルコールをたくさん飲んだ時などには肝臓にも負担がかかるので、タンパク質が尿中に出やすくなると言われます。
また脂っこいものや塩辛いものなどを多く食べた時や、肥満体質などの場合には、腎臓の濾過作用がうまくいかずにタンパク質が尿中に漏れてしまう、運動によっても筋肉の過労が原因となって、タンパク成分が尿中に出てしまうこともあると言われます。
考えられる病気
尿の泡立ち時間が長い場合などはウロビリノーゲンの作用とは異なり、たんぱく質が原因となることが多いのですが、そういった現象を起こしている病気として考えられるものはいくつかあります。
腎臓の濾過作用が弱まる現象を起こす腎炎やネフローゼ症候群がよくあげられる病気です。
また糖尿病も疑われると言われます。糖尿病は血液内に多くたまった糖分が血管を傷つけ、体のさまざまな部位に支障を来たす病気です。腎臓は血管の集合場所でもありますので、糖尿病による血管の破損によって腎臓の機能が落ちてしまい、タンパク質が出やすくなるという経路もみられます。
尿の泡立ちひとつでも体の異常を現す場合がありますので、異変を感じた場合には専門的な検査を受けるのが健康の秘訣となるでしょう。
以上、尿中の泡立ちについてまとめますと
1、すぐ消える尿の泡立ちは問題なし
2、尿の泡立ちが長く続く場合は腎臓・肝臓に病気が隠れている恐れがある
という事になります。
気になることがある場合は早期に一度受診されることをおすすめします。